子どもも、鬱病になる…知識として知っていても、我が身に降りかかるとは思ってもみないもの。
児童精神科医・医学博士で、子どものうつを専門に診てきた方の著書をご紹介します。
「子どものうつ」に気づけない! 医者だから言えること 親にしかできないこと 傳田健三
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教科書通りの答えなら、誰でも言えます。
ですが、傳田先生は、ご自身も息子さんも鬱を経験していて、体験談がとてもリアル。
より当事者の視点に立って、患者さんの気持ちを理解できるようになったといいます。
そんな傳田先生の言葉だからこそ、信じてみようと思わされるのです。
著者の傳田健三氏は、子どもの鬱・メンタルヘルスの専門家
著者の傳田(でんだ)健三氏は、子どもの精神医学を専門に研究されています。
子どものうつが、日本で社会問題として取り上げられる前から、子どもの精神衛生に取り組んできた方。
2003年に、文部科学省が国として初めて取り組んだ「子どものうつ」の調査で、チームリーダーを務められた実績があります。
専門用語や、医学的な見地も出てきますが、わかりやすい文章ですよ。
この本は2007年刊行で、すでに10年以上が経っているわけですが、依然として子どもを取り巻く環境は厳しいまま。
今は、子どももうつ病になるという前提はかなり浸透していて、情報も充実しています。
当事者の視点で語られる、大人と子どもの鬱の実態
傳田先生は、多忙な大学病院での勤務に区切りをつけ、家族を連れてイギリスに留学されます。
そのときはよかったのですが、帰国後、体調を崩され、これまでできていたことができなくなる、思考能力が低下するなどの鬱症状をおぼえます。
それでも、ご自身のことは、知識を活かして、同僚医師に睡眠薬を処方してもらうなどして乗り切りました。
しかし、その後、息子さんが不登校になり、家族は機能不全に陥ります。
精神科医なのに、我が子のこととなると、途端に距離感がつかめなくなり、患者さんに接するようには対応できません。
感情的に怒鳴ったり、「なぜそんなことをしたんだ」と問い詰めたり…。
精神科医が、患者の親に「こんなことを言ってはいけませんよ」という例のような、典型的な過ちをしてしまう。
親子だからこそ、なぜわからないんだという苛立ち、小さい頃を知っているからこその期待、父親としての葛藤…とてもリアルで、勝手に泣きそうになりました。
理想通りにいかない現実も受け止めてくれる、優しい文章
「子どものうつに気づけない」
長男は小児精神科医に診せてたときも
鬱だとは診断されてないから
違うかもしれないけど…精神科医の先生でも、我が子のことはセオリー通りに対応できず
感情的に怒鳴ったり問い詰めたりしてしまう、って知って
ちょっとほっとした👀https://t.co/XjozOdhVJT— シーア🍀よくばりブロガー (@seer1118b) 2019年7月14日
こういう本でありがちなのは、「親が変われば子どもが変わる」といったような論調。
子どもがうつになってしまった、うちの子はうつかもしれない…、と思って本を手に取った親は、救いを感じる前に打ちのめされるでしょう。
どんな親も、基本的に自分の子育てに自信がないので、専門家が「親が悪い」と言えば、素直に従ってしまうもの。
本書は、傳田先生ご自身が鬱の経験者なので、当事者の気持ちも汲み取って解説してくれます。
患者も、親も、医者も人間だから、理想通りにいかないこともある。
そんな優しさがにじみ出ていて、だからこそ信頼してみたいと思うのです。
児童精神科の現場、鬱の治療経過のノンフィクション
家族の形、心のありようは人それぞれで、道はひとつではありません。
診察された患者さん、ひとりひとりのケースを、どのように治療して解決に導くのか…ハラハラしながら見守りました。
場合によっては、複雑な要素が絡み合って、一筋縄ではいかないことも。
子どもひとりだけでなく、父親と母親の関係、同居の祖母と母親の関係、父親への不信感など…。
改めて、子どもはひとりで生まれて大きくなるわけではなくて、周囲との関わりの中で成長していくものなんだ、と痛感します。
親の影響はもちろん大きいのですが、それだけではありません。
私たちは、親に多大な責任を負わせすぎなのではないか?と考えさせられます。
「子どものうつに気づけない」精神科医でも我が子の対応は難しい
私にとって、本書を読んで得たいちばん大きな収穫は、精神科医でも我が子のことはうまく対応できないという事実でした。
特に、SNSなどで長男のことを書くと、「○○すればいいだけ」「○○しない親(私)が悪い」といった反応を頂くことが多々…。
他人のことだと
「こうしたらいいんじゃないか」とアドバイスできるけど…って書いてて
Twitterでも同じことだな🤔同僚の精神科医に相談しても「なんとかなるよ」と言われて
「そんなこと分かってる。何にもならない。精神科医なんてあてにならない」
的なこと書いてて笑ったw
お医者さんでも…😂— シーア🍀よくばりブロガー (@seer1118b) 2019年7月14日
断片的な書き込みだけを見て、いろんな人が言いたいことを言うのがSNSの常。
いちいち気にしないでいようとは思っていますが、それでも弱っているときは堪えます。
だけど、精神科医でも、同僚の精神科医にアドバイスされて「そんなこと言われなくても分かってる」ってイライラするんだって思うと、正直めちゃくちゃホッとしました。笑
子どもの鬱、不登校、思春期、総合失調…など、当事者の親として悩む方には、救いになる1冊です。
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