こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
辻村深月さんがついに本屋大賞を受賞されました。
「かがみの孤城」は、中学生が主人公の、現実世界にミステリーとファンタジーを少しずつまぶしたようなお話です。
人間関係に悩んでいる子や、生きにくいと感じる人、思春期の子どもを持つ親…いろんな方に読んでほしいと思います。
「かがみの孤城」辻村深月
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「かがみの孤城」辻村深月|あらすじ
中学1年生の安西こころは、入学したばかりの中学校で、リーダー格の女子に目をつけられてしまいます。
学校に行けなくなって、家に閉じこもるこころ。
大人たちははっきり言わないけれど、「大勢の中に溶け込めなかったのでは」「ケンカをしただけじゃない?」…という空気を感じてしまいます。
本当のことを言えず、ただただ「怖い」「お腹が痛い」と言って部屋で過ごす日々。
そんなある日、部屋にあった鏡が光り始めます。
鏡を通り抜けた先の世界には、こころと同じように、学校に行っていないであろう、同年代の子達がいました。
「かがみの孤城」辻村深月|登場人物はオオカミさまと6人の仲間
不思議な鏡に誘われて、別の世界にたどり着いたこころを待っていたのは、6人の仲間たちでした。
- ハキハキした美人のアキ。
- メガネでアニメ声のフウカ。
- ゲーム好きで皮肉屋のマサムネ。
- 物静かで紳士なスバル。
- 小太りで恋愛体質のウレシノ。
- サッカーが得意なイケメンのリオン。
そして、「オオカミさま」。
オオカミさまは、この城には「願いの部屋」があり、その部屋の鍵を見つけた一人だけが、扉を開けて願いを叶える権利があるといいます。
期限は3月30日まで、城が開いているのは朝9時から夕方5時まで。
何のために? なぜ自分たちが?
様々な疑問を抱えながら、約1年間の、不思議なお城へ通う日々が始まったのでした。
中学生の、アンバランスで矛盾だらけで繊細な感情を描く
中学生は、子どもから少しずつ大人になる、繊細で傷つきやすいアンバランスな時期です。
彼らは、数々の矛盾をはらんでいて、気にしすぎなくらい気にするくせに、自分勝手でもあります。
誰にも理解されないと心を閉ざしたり、それでいて誰かに聞いてもらいたいと思ったり。
「もういい」と突き放してみたり、「ついていけない」「置いていかれる」と思うと焦ったり。
自分がどう思われているかという自意識が強すぎて、変なところで気を使ってしまったり。
辻村さんがデビュー当初から描いてこられた、ティーンエイジャーたち。
一方で、大人になった今は、遠くなってしまった感覚を呼び覚まされるような気分にもなります。
我が子も不登校。思春期の子どもにピッタリの本
私自身、長男が中学校1年生になったばかり。
実は、2学期が始まってすぐ、不登校になってしまいました。
長男の中学校は、6つの小学校から集まってきた子どもたちが、5クラスにみっちり詰まっています。
同じ小学校の子、小学校は違うけど保育園で一緒だった子、初めて出会う子…
ちょうどそういう時期だからこそ、身につまされる思いで一気に読みました。
他にも、友達とうまくいかない、生きにくい、辛い思いをしている子がいるのかもしれないと想像すると、何とも言えない気持ちになります。
今は、あまり活字を読まない子ですが、この本はいつか彼がもっと成長したときに、読ませてみたいなと思います。
「かがみの孤城」は、親になった大人にも読んでほしい作品
大人になった私は、母親として、 思うところがあります。
こころの意志を尊重して、無理に学校に行きなさいとは言わないようにしているけど、お母さんだって人間です。
初めての子育て。我が子の不登校に、なんとも思わないわけがありません。
娘は、なぜ学校に行けないのか話してくれない。でも、話したくないのかもしれないから、聞けない。
ぶつけるところのない焦りと、期待と失望。どうしようもない虚しさ。
仕事が忙しくて、日中、家で一緒にいられるわけではありません。
だけど、ある日、ふいに昼間に家に帰ってきてみたら、娘がいない…。
不登校の娘が家で一日何をしているか、親なら、普通に心配じゃないですか。そんなの当たり前。
だけど、こころは「抜き打ちチェックみたいなことをされた」「お母さんに信用されていなかった」と感じて、怒ります。
それが偽らざるこころの気持ちだし、思春期の子どもは、与えられる愛情に無自覚なもの。
それが分かっていても、子育ての理不尽を知っているから、お母さん側の気持ちになってしまいます。
大人になると、つい、子ども側の感情を忘れてしまいがち。
相互理解のためにも、大人の人にこそ読んでほしいなと思います。
ポプラ社の広報誌「asta*」で連載
この作品は、ポプラ社の広報誌「asta*」に、冒頭部分だけ連載されていました。
当時、購読していたので、ちょうど読んでいたんです。
ハードカバー版で言うと「八月」の途中、ウレシノがキレたあたりまで掲載されていて「続きは単行本をお楽しみに」で終わっていたのを覚えています。
単行本化されるまでには、1年以上の期間があり、その後追いかけることができていませんでした。
大幅な加筆修正が入っているそうで、冒頭部分を読んだことがあった私も「もともとこんな感じだっけ?」と思う箇所がいくつもありました。
全体を調整されて、より作品としての完成度が高くなっています。
「asta*」の連載小説は、有名になる前の作品に先に触れられるので、おすすめですよ。
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辻村深月さんの小説は、どれも素晴らしいです。
他にも「島はぼくらと」の感想記事を書いています。
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