こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
一生トラウマになると思ってた出来事も結構かさぶたになって剥がれ落ちたりする。それにまたガッカリもするけども、まぁそれも味かと本文をずらしてやり過ごしたりする。昔、毎日気になって鏡でチェックした目の横のシミを見慣れ過ぎて忘れる時もある。そのうち全部、懐かしくなると思いながら生きてる
— 燃え殻 (@Pirate_Radio_) June 15, 2015
これはなんか本当に実感としてなんだけども。青春に失敗しても、受験に失敗しても、当初は就職にすら失敗したと思ってたんですが、まだ途中経過とはいえ、人生に胸張って成功だ!(今日現在)と言える日が来るとは。正直、今夜は思うよ。明日はどーだろう?明日は怖いなぁ。てかもう今日だし。眠ります
— 燃え殻 (@Pirate_Radio_) April 23, 2016
私が燃え殻さん(@pirate_radio_)を見つけたときの、素直な感想です。
失礼な話ですが、才能にちょっと嫉妬しました。
いまや、Twitterではフォロワー20万人を超える有名人。
情景が浮かんでくるような、胸にギュッと刺さるようなツイートが人気なんです。
そんな燃え殻さんが、自伝的小説を出版されました。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」燃え殻
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この記事では、Twitterで叙情的な140文字を操る燃え殻さんの小説「ボクたちはみんな大人になれなかった」をレビューします。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」のあらすじ
主人公の「ボク」は、43歳独身で、東京のテレビ美術制作会社で働いています。
ある朝、通勤電車の中で、Facebookの「友達かも?」の中に、ある女性の名前を見つけてしまう…。
それは、ボクがかつて、ただひとり好きになった人でした。
操作を誤って、彼女に「友達申請」をしてしまったことから、彼女との思い出、過去に出会った人たち、人生のひとつひとつを振り返ります。
ひとつひとつのエピソードは、本当のこともあれば、フィクションも混じっているといいます。
どこからどこまでがエッセイで、ここから先は小説、と分けられるものではありません。
ですが、言葉のリアリティは凄まじくて、これがこの人の辿ってきた人生の深みなのだ、と思わされます。
「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」と言ってくれた、ブスの彼女
彼女は、ダサいことが何より嫌いで、目的地を決めないまま出かけるのが好きで、前衛的でハイセンスすぎる映画や音楽を好む、個性的な「ブス」でした。
いくらなんでも、自分が好きだった人に、作品の中とはいえ、「ブス」ってひどくない?
だけど、そんな「ブス」の彼女の良さを分かるのは自分だけだと思っていた…。
人生を振り返って、ただひとり、代わりがきかなかった彼女。
彼女のすべてが正義になる、恋の魔法に初めてかかった人。
「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」と、存在を全承認してくれたこと。
いつまでも、思い出にさせてくれない人。
読み進めていくと、決してボクが彼女を軽んじているわけではなくて、むしろ深い愛情の裏返しなのだとわかります。
バブル期のテレビ業界の闇。いつか壊れる世界
バラエティ番組のフリップ制作など、裏方ではあるものの、テレビ業界のそばにいたボク。
バブル期は、華やかで狂ったような大盤振る舞いのパーティーが、そこかしこで開かれていました。
多くの人は、時代の流れに乗っかって、一緒に浮かれてしまっているように思えます。
だけど、こんなこと、いつまでも続かない。いつか壊れる。
そう感じて、怖くなってしまう、ボクの感覚は、とてもフラットで正しいのです。
自伝的なのに共感できる、エピソードの数々
最初は、WEBサイト「cakes」の連載として始まりました。
単行本化にあたって、大幅に加筆修正をしたそうです。
若い頃にアルバイトをしていた、ブラジル人がたくさん働いているエクレア工場。
「デイリーan」の、文通相手を探すコーナー。
ノストラダムスの大予言で滅びなかった人類。
バイクで事故って誰も助けてくれないときに、唯一助けてくれたヤクザの男。
「もしかしたら」なんてない、誰のものでもない、ひとりの男の人生を描いているはずなのに、なぜか共感できるのです。
その理由は、心の柔らかいところを選んで突き刺してくる、叙情的な燃え殻さんの文章にあります。
始まってしまったボクたちは、いつか終わる運命にある。必ず夜が朝になるように、必ず朝は夜になる。ただその必ずが今日なのか、明日なのか、20年先なのか、それは誰にも分からない。
「人生、早く終われ」と思ったり、「このままどこかに行ってしまいたい」と黄昏れたり、「生きててよかった」と肯定したり…。
いろんなことを経験してきた人にこそ、響く言葉が散りばめられています。
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彩瀬まるさんも、心の柔らかいところを突いてくる作品を描かれます。
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