昔好きだった作品に、今の自分が救われることがあります。
当然ながら、たくさんの本に触れてきた人ほど、いつかどこかで「これ、好きだったな」と思い出す可能性が高いもの。
本だけでなく、絵本やマンガ、写真や絵画、ゲームなど…なんだっていいんです。
今の私は、私が過去に触れてきた作品でできている…。
なるべく子どものうちに、いろんな作品に触れておくことで、未来の自分が「懐かしい」と思えるものが増えるのです。
それって、未来の自分を救えるくらい、大きなこと。
この記事では、大好きだった「フォーチュン・クエスト」を28年ぶりに読んで、感じたことを綴っています。
昔好きだった小説「フォーチュン・クエスト」と28年ぶりの再会
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私は、小学生の頃に、フォーチュン・クエストというライトノベルにハマりました。
当時は、まだまだ冒険=男の子で、女の子が主人公の小説が珍しかったんです。
主人公のパステルは、特別な能力も取り柄もない、16歳の女の子。
私は、学校でも塾でも目立たなくて、顔がかわいいわけでもなく、成績も中の上…。
誰にも評価してもらえない自分だけど、パステルになら、なれるような気がしていました。
だって、パステルは、特殊能力なんてなくても、パーティーに必要とされる存在で、ただ一人の主人公だったから。
私の主人公願望・ヒロイン願望は、ここから始まったと言って間違いないでしょう。
💎今まで隠していたけど、実はお前は勇者なのだ!
とか
💃ごく普通の女子だけど、スカウトに声をかけられてアイドルデビュー!
とか…
そういうの憧れるなぁ✨自分の意志ではなく、大いなる運命の意志で
物語の主人公になってみたい😇現実の私は
図々しく自ら舞台に躍り出てるからw— シーア🍀よくばりブロガー (@seer1118b) November 4, 2019
フィクションの世界への憧れで、現実を乗り越えることができた
フォーチュン・クエストが、フィクションだということは、言われなくてもわかっています。
だけど、私にとって、現実社会は厳しすぎました。子どもだって、悩むのです。
- 迫ってくる小学校卒業
- 望まない中学校受験
- どんどん住む世界がズレていく友達たち
- 泣いても笑っても過ぎ去っていく時間
「フォーチュン・クエストの世界は、本当は存在しないんだ」「自分がいる世界にしか現実はないんだ」と断定されたら、ガラガラと崩れ去りそうで。
だから、作品の中のリアリティにすがってしまった。
私だったら、キットンに無理矢理でもお風呂に入ってもらうなぁ。
私だったら、ルーミィにもっとこんなこともしてあげたい。
私だったら…。
環境の変化と成長で、好きだった作品も忘れてしまう
そんな私も、中学校生活が終わる頃には、暮らしに慣れて、当たり前の顔をして過ごせるようになりました。
新しい友達と知り合い、多種多様な作品に触れて…今までと違う交友関係で、刺激的な日々。
マンガ雑誌「ガンガン」に連載されていた「魔法陣グルグル」は特にハマりました。
ほかにも、マザーグースのような世界観が独特な、池田あきこさんの「猫のダヤン」シリーズにハマったり。
部活ではパステル画を描いていたので、ダヤンの絵も真似をして描いていました。
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新しい作品にハマると、前に好きだったものが少しずつフェードアウトしていくもの。
「フォーチュン・クエスト」のことも、徐々に忘れていました。
大人になった今、昔好きだった作品に再会した意味
30年続いたフォーチュン・クエスト、ついにエンディングです!
ルーミィの家族に会えるのか、その前に立ち塞がるかつてない凶悪な敵とは……。最終話、上巻が12月10日に発売されます。
どうぞ最後まで一緒に駆け抜けてください!#フォーチュン・クエスト#深沢美潮https://t.co/PrLhkSVJEB pic.twitter.com/VhxHuwEXgD— 深沢美潮 (@mishiofukazawa) November 17, 2019
「フォーチュン・クエスト」がもうすぐ完結を迎えることは、たまたまTwitterで知りました。
私が離れたあとも、まだパステルたちは冒険を続けていたのです。
懐かしい!と思う気持ちと同時に、浮かび上がったのは、過去の自分のことでした。
現実に追い詰められて、冒険の世界に逃げたくて、パステルになりたくて…。
今、私は、仕事もプライベートも楽しむことができています。
あの頃は、こんなに現実を楽しめる大人になるとは、思ってもみなかった…。
懐かしい作品たちの数が多いほど、私を救う船が大きくなる
私がポジティブになれたのは、小さい頃から触れてきた創作作品のおかげだと思っています。
絵本、小説、マンガ、ゲーム…すべてが血肉になって、私を形作りました。
それらに今、もう一度触れて「懐かしい」と感じられるのは、小さい頃に接したからこそ。
いくら、私が小さいときに流行っていても、知りもしない作品では「懐かしい」とは思えません。
生まれ育った年代が同じでも、触れた世界が違うというのはよくあること。
過去の私を救ってくれた作品たちが、今もう一度目の前に現れる。
そして私はそれらを「懐かしい」と感じられる…
昔の私が、たくさんの創作作品に触れてくれたおかげで、今の私があるのです。
神話に出てくるノアの方舟が、物語のカタマリでできていて、数多くの作品を知っているほどに大きく頑丈になっていくイメージ。
本当に好きなものは、一時的に離れても大丈夫
私は、過去に好きだった作品たちを、忘れてしまったと思っていたけれど、それは間違いでした。
ちゃんと、私の中で生きていたんです。
少し離れていても、本当に好きなものは、私が戻ってくるのを待っていてくれました。
セリフのひとつひとつ、キャラクターの感情…子どもの頃は「どうして?」と思っていたことも、今ならわかります。
子どもの教育では、「やりたいと言うことはひとまずやらせてあげて」とか「興味を持つことが大事」などと言われます。
ですが、それが実際にどんな効果があって、どんな大人になったかということは、あまり語られないのではないでしょうか。
私は、興味を持ったことに手を出し続けたおかげで、大人になった今、奥行きのある人間になれたと感じます。
それも、「自分の範囲はここまでだ」と制限せず、自分の興味の赴くままに手を伸ばしてきたから。
https://twitter.com/seer1118b/status/1199716077753651200?s=20
【後日談】現役中学生の長男の反応
ちなみに、この記事に書いたようなことを長男(中2)に語ってみたところ、とても冷たい反応でした。
まぁ、私も、中学生の頃に「大人になってから懐かしいと思うだろう」なんて考えていなかったけどね…。
今の彼にとっては、想像もつかないくらい先の話で、ピンとこないのは仕方がないこと。
でも、今の長男が「楽しい」「好きだ」と感じることの積み重ねで、彼自身が形作られていくはず。
だから、興味のあることはなんでもやってみたらいいと思う。
10年後、20年後…ずっと未来の糧になるかもしれないのだから。