本屋大賞は、全国の書店員さんが、売りたい・おすすめしたい本を選ぶもの。
毎年、面白い作品ばかりで、どれを手にとっても間違いなし!
この記事では、2020年の本屋大賞の大賞受賞作とノミネート作品、レビュー記事をまとめました。
- 流浪の月/凪良ゆう 432点
- ライオンのおやつ/小川糸 380点
- 線は、僕を描く/砥上裕將 327点
- ノースライト/横山秀夫 275.5点
- 熱源/川越宗一 214点
- medium 霊媒探偵 城塚翡翠/相沢沙呼 198点
- 夏物語/川上未映子 156点
- ムゲンのi/知念実希人 147.5点
- 店長がバカすぎて/早見和真 105.5点
- むかしむかしあるところに、死体がありました。/青柳碧人 91.5点
私自身、まだ読んでいない作品もノミネートされているので、これから読み進めるつもりです。
- 本屋大賞とは、書店員が自分のお店で売りたい・おすすめしたい本を選ぶ賞
- 2020年本屋大賞のノミネート作品|感想・レビュー
- 「流浪の月」凪良ゆう|BL出身の作者が描く、世間に馴染めない少女と青年
- 「ライオンのおやつ」小川糸|ホスピスで過ごす雫の最後のおやつ
- 「線は、僕を描く」砥上裕將|水墨画に人生を救われた青年の再生物語
- 「ノースライト」横山秀夫|建築士と消えた一家のミステリー
- 「熱源」川越宗一|炎を絶やさなかったアイヌとポーランド人の戦い
- 「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼|霊媒師と推理作家の異色のコンビ
- 「夏物語」川上未映子|生命の意味を問う、夏子の旅
- 「ムゲンのi」知念実希人|眠り続ける謎の病気と夢幻の世界
- 「店長がバカすぎて」早見和真|書店の契約社員と非敏腕店長のエンタメ小説
- 「むかしむかしあるところに、死体がありました。」青柳碧人|日本昔話が新感覚ミステリーに!
- 2020年本屋大賞は「流浪の月」凪良ゆう
- 本屋大賞は名作ぞろい。ヒット作候補が多数
本屋大賞とは、書店員が自分のお店で売りたい・おすすめしたい本を選ぶ賞
本屋大賞は、2004年にスタートし、例年盛り上がりを見せています。
全国の書店員さんが、「おもしろかった!」「お客様にもおすすめしたい」「自分のお店で売りたい」と思う本に投票して、大賞が決まります。
対象作品は、2018年12月1日〜2019年11月30日の間に刊行された、日本国内の小説です。
- 12月1日 1次投票スタート
- 1月5日 1次投票〆切
- 1月21日 ノミネート作品発表、2次投票スタート
- 3月1日 2次投票〆切
- 4月7日 結果発表
参加資格は、正社員でもアルバイトでも、書店員であること。
1次投票では、1人3作品を選んで投票します。
2次投票では、ノミネート作品をすべて読み、それぞれに感想コメントを書いた上で、ベスト3まで順位をつけて投票。
出版業界に新しい流れを作ろう、書店をもっと活気づけよう、という意気込みを感じられますね。
2020年本屋大賞のノミネート作品|感想・レビュー
2020年の本屋大賞のノミネート作品、合計10作品をご紹介します。
大賞受賞作だけでなく、ここにノミネートされている作品は、どれも一次選考で10位以内にランクインした選りすぐりなので、面白さは保障つき。
私が読了した作品は、レビュー記事を書いているので、ぜひ合わせてご覧くださいね。
「流浪の月」凪良ゆう|BL出身の作者が描く、世間に馴染めない少女と青年
著者の凪良ゆうさんは、BL小説出身の作家さん。
一般文芸では駆け出しですが、人と人の関係性や、繊細な心理描写に定評があります。
家庭環境に恵まれない少女・更紗と、公園で出会った青年・文(ふみ)…ふたりは、どちらも世間にうまく馴染めない者同士。
ふとしたことから、更紗は「被害者」に、文は「加害者」にされてしまい…。
「かわいそう」と同情する世間には、彼女の気持ちはわからない…そんなやるせなさを振り払うように、物語が進むのです。
「ライオンのおやつ」小川糸|ホスピスで過ごす雫の最後のおやつ
人生の最後に食べたいおやつは、なんだろう?
雫は、若くして不治の病になり、瀬戸内の海が見えるホスピスで最後のときを迎えようと心に決めます。
穏やかな景色に包まれて、自分が本当にしたかったことを見つめ直す日々…。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストを出せる「おやつの時間」があるのですが、雫はなかなか選ぶことができません。
小川糸さんの小説は、いつも食べ物がおいしそうなのが特徴。
食べることと、生きることはつながっている…どんな人にも平等に訪れる死を受け入れられるように。
「線は、僕を描く」砥上裕將|水墨画に人生を救われた青年の再生物語
青山霜介は、家族を交通事故で失い、心を閉ざして生きていました。
そんなとき、水墨画の巨匠・篠田湖山に見出され、弟子となります。
湖山の孫で、水墨画を志す千瑛(ちあき)は、祖父が素人を弟子にしたことが気に入りません。
「来年の湖山賞を賭けて勝負する」と宣言します。
水墨画に出会い、生きる力を取り戻していく青山くんが、瑞々しくて応援したくなるのです。
なんと、筆者の砥上裕將さんご自身が、水墨画家。
コミカライズ(マンガ化)もされている話題作ですよ。
「ノースライト」横山秀夫|建築士と消えた一家のミステリー
Kindle Unlimitedなら本・マンガが読み放題【30日間無料】
横山秀夫さんの作品は、超話題作だった「64」を発売当時に読んだきり。
「ノースライト」は6年ぶりの新作です。
一級建築士の青瀬は、かつて自分が設計した家のある、信濃追分に向かっていました。
マイホームに夢を描いて設計を依頼したはずの家族は、その家にはすでにいない…ただ、古い椅子だけが残されているのみ。
椅子は、浅間山を望む位置に置かれていました。
一家はどこへ消えたのでしょうか?
その謎には、伝説の建築家タウトが関わっていると知り、青瀬は調査に乗り出すのです。
「熱源」川越宗一|炎を絶やさなかったアイヌとポーランド人の戦い
第162回直木賞受賞作にして、本屋大賞ノミネート作品。
主人公は、アイヌのヤヨマネクフと、ポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキ。
樺太(サハリン)で生まれたけれど、開拓使たちに故郷を追われ、家族を失い、日本人にさせられそうになったアイヌ。
リトアニアに生まれながら、ロシアの強い同化政策のせいで、母国語を話すことすら許されなかったポーランド人。
自らの文化を否定され、アイデンティティを奪われそうになりながら、それでも炎を絶やさずに生き抜いた二人の男たち。
今まですぐそこにあったのに、見て見ぬふりをしてきた、新しい扉を開いたような感覚の作品です。
「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼|霊媒師と推理作家の異色のコンビ
本屋さんで何度も平積みになっているのを見ながら、表紙の妖艶さに怯んで手に取らなかった作品でした。
証拠のない連続殺人事件を解決するのは、異色のコンビ。
- 香月史郎(こうげつしろう)…これまで多くの事件を解決してきた推理作家。
- 城塚翡翠(じょうづかひすい)…死者の言葉を伝えることができる霊媒師。
翡翠の証言には物証がないため、それを裏付けるためには、香月の推理力を組み合わせなくてはなりません。
また、翡翠は精神的に不安定なため、いろんな意味で守ってあげないといけない存在。
ミステリ界のマジシャンと呼ばれる著者の、「すべてが伏線」と言われる全力の作品。
「このミステリーがすごい!」でも絶賛の声を多数得ている、期待の1冊です。
「夏物語」川上未映子|生命の意味を問う、夏子の旅
川上未映子さんといえば、わが子のことを描いたエッセイ「きみは赤ちゃん」が有名。
「夏物語」は、38歳の夏子が「自分の子どもに会いたい」と思い立ちます。
夏子は、いろんな人に会って、話を聞いていきます。
性別による役割分担の違和感や、この世界のどこにも居場所がないという感情。
嫌な事件も多い世の中に、子どもを産み落とすことの是非。
聞けば聞くほど、正解がわからなくなってくるような…生命の意味って?
関西弁の効果もあってか、なんとなくコミカルに感じちゃうけれど、実は深くて本質的な問いばかり。
「ムゲンのi」知念実希人|眠り続ける謎の病気と夢幻の世界
現役医師でもある知念実希人さんは、医療知識をふんだんに活かしたミステリーが得意な作家さん。
ですが、「ムゲンのi」は、単なる医療ミステリーではありません。
主人公の識名愛衣は医師で、眠り続ける謎の病気「イレス」の患者を診ています。
治療法がなく、どうすればよいか悩む愛衣は、沖縄の実家に帰ったとき、ユタ(沖縄の霊能力者)の祖母に相談しました。
祖母が言うには、「患者の夢幻の世界で、マブイグミをすれば目覚める」と…。
「マブイグミ」というのは、魂の救済のこと。
愛衣は、アドバイスに従って夢幻の世界に飛び込むのです。
魂の分身である、「うさぎ猫のククル」がとてもかわいくて、虐待や裁判などシリアスな場面にも和ませてくれます。
ミステリーでもありファンタジーでもあり、社会問題や家族関係など、さまざまな要素が盛りだくさんの作品。
「店長がバカすぎて」早見和真|書店の契約社員と非敏腕店長のエンタメ小説
書店の契約社員、谷原京子は、「非」敏腕店長のことが気に入りません。
そんなとき、心の支えだった憧れの先輩、小柳真里が退職することになりました…。
書店員のリアルを描いたお仕事小説をメインに、ミステリー要素もある作品。
息もつかせぬストーリー展開で、次から次へと起こるトラブル。
「むかしむかしあるところに、死体がありました。」青柳碧人|日本昔話が新感覚ミステリーに!
Kindle Unlimitedなら本・マンガが読み放題【30日間無料】
むかしむかしあるところに…といえば、皆さんご存知の日本昔ばなし。
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」と「花咲かじいさん」などの昔話が、なんと事件現場に…!
密室トリック、ダイイングメッセージ、アリバイ…どう考えても昔話には似合わないミステリーの手法が炸裂。
とにかく企画が面白いし、サクサク読めて爽快です!
「こんな切り口があったとは」「よく思いつくなぁ」と、笑いながらも、意外に(?)うまく組み立てられていて、引き込まれてしまいますよ。
2020年本屋大賞は「流浪の月」凪良ゆう
私なりに大賞受賞作を予想していましたが、見事に外れました。毎回当たったためしがありません(笑)。
今年は、動画配信での結果発表でしたが、書店員ではない一般の私たちも見ることができて、とてもワクワクしましたよ。
私自身、どんな作品と出会えるのか、これから読むのが楽しみです。
本屋大賞は名作ぞろい。ヒット作候補が多数
数ある小説の中には、誰もが知る人気作家もあれば、知る人ぞ知る名作もあります。
すべての作品を読破するのは難しいけれど、本が好きな書店員さんが選ぶ「本屋大賞」受賞作品なら、どれも期待できますね。
本当に大切なのは順位ではなく、自分の気に入った作品を見つけること。
新しい本との出会いのきっかけとして、本屋大賞を上手に活用してほしいです。
本を読みたいけれど、かさばるから持ち運びにくい、置く場所がない…とお悩みの方には「Kindle」がおすすめ。
いつでもどこでも、片手で読めるから便利。
私は、防水のiPhoneをお風呂に持ち込んで、Kindleで読書しています。
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