「怖い」という気持ちは、誰しも抱くもの。
そんな感情に打ち勝って、強くいられる心を育むサポートができる絵本をご紹介します。
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親は子どもに強くなってほしいと願うもの。
でも、赤ちゃんのときはどうってことなかったものを、怖いと感じられるのは成長の証でもあるんです。
そんなとき、怖い気持ちに寄り添うように、そっと差し出せる絵本です。
「ラチとらいおん」の絵本データ
マレーク・ベロニカ氏は、ハンガリーの絵本作家で、「ラチとらいおん」の他にもたくさんの絵本を手がけています。
「ラチとらいおん」のあらすじ・内容
ラチは、世界中でいちばん弱虫な男の子。
犬を見ると逃げ出してしまうし、暗い部屋には入れません。
友達だって怖いので、一緒に遊べなくて、ひとりぼっち…。
ラチには、飛行士になりたいという夢がありましたが、こんなに臆病では、とてもなれそうにありません。
ところが、小さな赤いライオンが、ラチの部屋に現れたのです!
大きな犬がいても、ライオンが一緒にいれば大丈夫。
ライオンがついてきてくれれば、暗い部屋にも入れました。
特訓を続けたある日、ラチはついに相撲でライオンに勝ちました!
ラチは、喜んで友達のところへ出かけますが、友達たちは、意地悪ののっぽにボールを取られてしまったと言います。
ラチは「ライオンがついているから、のっぽなんて怖くない!」と、のっぽを追いかけて、ボールを取り返します。
ですが…ポケットに入っていると思っていたライオンは、実はりんごでした。
ライオンは、ラチが強くなったのを見届けて、次の弱虫の子どものところへ旅立ったのです。
ラチは、もうライオンがいなくても大丈夫。何も怖がらない、強い男の子に成長したのです。
「ラチとらいおん」の魅力を3つ解説
「ラチとらいおん」の魅力を3つピックアップします。
- 臆病な子どもに勇気を与えてくれて、自分自身の力で成長できる
- 子どもの「怖い」気持ちは成長の証。寄り添って乗り越えられる絵本
- ライオンがいるから強くなれる、でもライオンの強さに依存しない
臆病な子どもに勇気を与えてくれて、自分自身の力で成長できる
ラチは、ライオンのおかげで、怖がりで臆病な性格を変えることができました。
今、このタイミングでライオンが現れたのには、意味があると思えてなりません。
子どもには、年齢で区切れない、それぞれ成長のタイミングがあるもの。
ラチには「変わりたい」「強くなりたい」という、成長の根源になる欲求があったはず。
だからこそ、ライオンが来てくれたのです。
子どもの「怖い」気持ちは成長の証。寄り添って乗り越えられる絵本
子どもの育ちには段階があって、「怖い」という気持ちは、産まれたばかりの頃にはないもの。
暗闇が怖いのは、暗いところになにか得体のしれないものがいるかもしれない、と思うから。
見えないものに対して、想像を働かせる力が芽生えている証拠なんです。
大切なのは、「怖い」と思う気持ちを否定しないこと。
「暗くても怖くないから、行きなさい」と言われても、怖い気持ちはなくなりません。
だから、ライオンのように、一緒に暗いところについていってくれる存在は、心強いのです。
何度かくり返して、子ども自身が「暗いところに行っても、怖いことは起こらない」って心から理解できれば、自然と怖くなくなるもの。
「ラチとらいおん」は、子どもの「怖い」気持ちに寄り添って、乗り越える手助けになってくれますよ。
ライオンがいるから強くなれる、でもライオンの強さに依存しない
ライオンが一緒にいてくれることで強くなれるのが、第一段階だとすると、ライオンがいなくても強い自分でいられるのが、第二段階。
ライオンは、ラチが強くなって自信がつくまで、一緒に体操をしたり、相撲をとったりしてくれました。
でも、ラチがのっぽからボールを取り返すとき、もうひとりでも大丈夫だと確信していたんです。
だから、そっと置き手紙をして、ラチの元を去りました。
最初は、親が自転車の後ろを手で支えて、一緒に走ってくれるけど、実はこっそり手を離していて、「支えていなくても、ちゃんと乗れてたよ」ってあとで種明かしされる…。
本当はもうひとりでこげるのに、ずっと支え続けていたら、いつまでたっても自立できません。
だから、ちょっと不安定かもしれないけど、あえて手を離してみる。
それと同じで、ライオンは、ラチがひとりでも強くいられることを自覚させるために、こんなお別れの仕方を選んだのです。
「ラチとらいおん」は、強さと優しさを教えてくれる、弱い子の味方になれる絵本
子どもの「怖い」という感情を、否定することなく、一緒に乗り越えて、自立への道筋を示してくれます。
現実では、子どもはこんなにすぐ強くなったりしないし、強くなったから夢が叶う(飛行士になれる)とも限りません。
だけど、そんな現実を踏まえた上で、ただただライオンの存在を信じられるのも、絵本のいいところ。
ライオンは、今でも、世界中の弱虫の子どものところを転々としていることでしょう。
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