ミステリー小説が好きな方ならご存知かもしれませんが、一般的な知名度はあまりない方かなと思います。
七河迦南って知ってる!と言う人に出会ったことがありません…!
- ミステリー小説が好きな方
- どんでん返しが好きな方
- ハラハラ・ドキドキしたい方
- だいたいの小説で結末が分かっちゃう方
こんな方に楽しんで頂ける、オススメの作品ばかりです!
七河迦南の代表作、七海学園3部作を紹介するよ!
七河迦南とは? 知る人ぞ知る、ミステリーの名手
七河 迦南(ななかわ かなん)は、日本の小説家、推理作家。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。2008年、連作短編集『七つの海を照らす星』で東京創元社主催の第18回鮎川哲也賞を受賞しデビューした。
児童養護施設「七海学園」を舞台にしたデビュー作に続くシリーズ第2作の『アルバトロスは羽ばたかない』は、原書房『本格ミステリ・ベスト10』で第5位、宝島社『このミステリーがすごい!』で第9位にランクインした。
Wikipediaより
実は、「七河迦南」という不思議な名前にも秘密があるんです。
「七河迦南」をローマ字で書いてみると「NANAKAWA KANAN」で、上から読んでも下から読んでも同じ、回文になっているんです。
秘密って言っても、あとがきか何かで書いていらっしゃったことですけどね!
作品中にも、回文や言葉遊びが要所要所で登場します。
そんな著者らしい、遊び心のあるお名前です。
本名ではなくペンネームだそうです。念のため。
児童養護施設「七海学園」3部作|七河迦南
七河迦南の代表作は、児童養護施設「七海学園」を舞台にした3部作です。
同じ世界観で続いており、ストーリーが関連していたり、登場人物がリンクしています。
一見、短編集のように見えます。
実際最初はそうなのですが、最後まで読むと…ドンデン返しが待っています。
それまでの気になっていたポイント、気にも留めていなかった出来事が、全て回収される爽快感は、何ともいえません!
表紙の絵や、タイトルのセンスに、心を鷲掴みにされます。
すべて読み終わってから、表紙やタイトルに込められた意味を考えると、ハッとさせられます。
とにかく、刊行順に(=このブログで紹介している順番)に、期間を空けず、一気に全部読んでほしい!
「七つの海を照らす星」七河迦南
シリーズ1作目は、第十八回鮎川哲也賞受賞作。
児童養護施設「七海学園」では、それぞれの事情で家庭で暮らせない子どもたちが生活しています。
ここには「学園七不思議」と呼ばれる、ちょっと怖い、不思議な言い伝えがあるんです。
迷信とか、そういうんじゃないの?
それだけとは言い切れない出来事が起こるんだよ!
7人の少女をめぐる謎は、ひとつひとつがつながって、思いがけない真実へと結びつくんです。
「七つの海を照らす星」七海学園の七不思議を巡る、連作短編集
主人公は、児童養護施設「七海学園」に勤める、保育士の北沢春菜。
育児放棄、虐待、貧困…様々な問題を抱え、親や家族に大切にされてこなかったことから、傷ついた子どもたちが暮らしています。
幸せな家庭に育った子にはない悩みがあります。
問題は次々起こりますが、児童福祉士の海王さんが謎を解き明かしてくれます。
海王さんは、このシリーズの重要人物!
海王さんは役人なのですが、お役所仕事じゃなく、「みんないい子ですねぇ」というスタンスで、どの子にも温かいまなざしで語る素敵な人。
子どもたちに寄り添い、無理に謎を解決せず、ときには、謎を謎のままそっとしておく。
春菜は、さまざまなやり方で、少しずつ子どもや、その子に関わっている大人達の気持ちを理解しようとします。
片側からの見方だと、「これが事実だ」と思ってしまうことも、反対側から見ると、また違った解釈が生まれるのです。
また、もうひとりの重要人物は、春菜の大学の友人の、野中佳音。
春菜は、佳音に他愛なく仕事のことを話しますが…謎がひとつにつながったとき、運命を感じる結末ですよ。
「アルバトロスは羽ばたかない」七河迦南
1作目「七つの海を照らす星」の続編で、春菜は、七海学園に勤めて3年目になっています。
高校の文化祭で、校舎の屋上から生徒が転落する事件がありました。
警察は、「不慮の事故」として処理しましたが…本当にそうなのでしょうか。
春菜の心の中に、ずっと引っかかっているんだね。
しかし、この事件の前に、学園の日常に起きていた謎の事件が、実はつながっていたのです…。
季節ごとに振り返りながら、だんだん近づいてくる真実に、またしても鳥肌が立つこと間違いなし!
「アルバトロスは羽ばたかない」前作にも増してドンデン返し
前作から数年後のお話ですが、ただの続編ではありません。
これほどまでに、ミスリードを誘う、作者の意図にまんまとハマってしまう作品はないでしょう。
七海学園に入所している高校生、鷺宮瞭が今回の重要人物です。
七海学園の生徒たちが通う、高校の文化祭で起こった転落事件を語る「冬の章」。
プロローグから幾度も登場する「冬の章」を挟みながら、春・夏・秋と過去を振り返り、季節ごとに短編的なお話が展開されます。
そこから浮かび上がってくる事件の真相とは?
鷺宮瞭は、何を考え、何に傷ついてきたのか。
すべてが冒頭の転落事件につながっていた…!?
アルバトロスとは、アホウドリのこと。
なんだか、のほほんとしていそうだよね。
アルバトロスは、楽に気流に乗って羽ばたかずに飛ぶように見えますが、実は地上や水面では必死でバタついているそうです。
このタイトルが意味するものとは…!?
ラストで、真実がぐるんとひっくり返ってしまって、びっくり。
「えっ、ちょっと待って」と声が出るくらい衝撃です!
ここで騙される!?
読み終わって、即もう一度最初から読みました。
答え合わせというか、ラストを知っていて読むと、また違った印象を受けます。二度おいしい作品です。
「空耳の森」七河迦南
3作目は、短編集です。
七海学園とどういうつながりがあるのか…考えながら読み進めると、「あっ!」と気づく瞬間があります。
- 冷たいホットライン…思い出の山を登る男女のサスペンス。女性の方は足をくじいてしまって、男は吹雪の中で姿を消す…?
- アイランド…無人島に置き去りにされた姉弟のお話。
- さよならシンデレラ…盗みの疑いをかけられた不良少女を助けるために、幼馴染の少年が
- 晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)…居酒屋で男が探偵に遭遇して、これまでの謎を一気に解明する。その正体とはいったい…?
「空耳の森」シリーズ登場人物の関連が嬉しい
最初は、七海学園に関係ない短編のように見えます。
しかし、読み進めるにつれて、だんだん前作との絡みが生きてきます。
シリーズを続けて読んでいると、知ってる!って気持ちで嬉しくなっちゃう。
よくよく考えると、時系列がバラバラになってたり、関連があるのに伏せられている人の名前があり、練りに練ったミステリーという印象。
前作を読んでいない人向けに、本作で前作のネタバレをしないように、表現の仕方で配慮しているようです。
私には難解すぎる部分もあり、一回では理解できませんでした(笑)。
何度も読みたくなるよ!
シリーズ3作ともを、期間を空けずに読むことをおすすめします!
記憶が新しいうちに、勢いそのままで、ラストまでなだれ込んでください。
七河迦南作品の映像化を熱望!
個人的には、七河迦南さんは、ゆくゆくはもっと有名になっていってほしい。
映画やドラマになってほしいけれど、言葉のあやでミスリードを誘うなど、映像化しにくい要素があるので、どうかなぁ~。
ちょっと期待しています!
七河迦南さんの文章に触れてみたい方は、講談社ノベルズのサイトをご覧ください。
鮎川哲也賞の受賞に際して、ご自分の作品観などを書かれています。
これだけでも、十分魅力的で幻想的な文章です。
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