こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
おいしい食べ物、女の友情、そして恋。
あまからカルテット 柚木麻子
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嫉妬も意地悪もない、ただひたすらに純粋な友情物語です。
ときにはケンカをしたり、分かり合えないこともありますが、長年の付き合いだから、お互いを理解しあい、許せてしまうもの。
スパイスとして、各章においしい食べ物が登場します。
お腹が減ってくるような小説ですよ。
「あまからカルテット」は、女の友情とおいしい食べ物が魅力
柚木麻子さんは、女性の心情を描くのがとても上手な作家さんです。
メインとなる登場人物は、女子中学・高校時代から仲良しの4人の女性たち。
彼女たちは29歳。女性にとっては大きな区切りである、30歳を目前にした、絶妙なお年頃です。
- 咲子…ピアノ講師。おっとりとした性格。
- 薫子…編集者でバリバリのキャリアウーマン。
- 由香子…お料理好きの専業主婦。ブログがきっかけで料理研究家に。
- 満里子…美容部員。女王様気質の美人。合コンの常連。
学校を卒業して、それぞれの道を歩みながらも、ときどき集まっては他愛もない話をする間柄です。
実は、私もエスカレーター式の女子中学・高校に通っていたので、すごく親近感があります!
6年間も一緒だったから、深い絆が薄れることなく続いてるんですよね。
その後しばらく会っていなくても、ブランクを感じずにいきなり昨日の続きみたいに話せます。
5つの連作短編集 〜おすすめは「恋する稲荷寿司」〜
彼女たち一人ひとりにスポットライトを当てながら、関係性を掘り下げています。
良いことも、悪いことも、成功も失敗も、いつも味覚とセットです。
- 恋する稲荷寿司
- はにかむ甘食
- 胸さわぎのハイボール
- てんてこ舞いにラー油
- おせちでカルテット
私は、冒頭の「恋する稲荷寿司」がいちばん好きです。
誰も傷つかずハッピーなお話で、きれいにまとまっています。
恋する稲荷寿司
咲子は、自宅でピアノの先生をしています。
そんな咲子が、花火大会で出会った運命の人。
手がかりは、彼が作ったお稲荷さんだけ。
普段、浮いた話のない咲子の恋を応援しようと、親友たち3人は、彼を探し出そうとします。
薫子は、グルメ記者のバキさんこと膳場恭一郎と、お寿司屋さんを巡り、彼のお店を探します。
満里子は、合コンで出会ったジャズファンの男と、ジャズ研をリサーチ。
由香子は、お稲荷さんのレシピを再現しようとします。
はにかむ甘食
由香子は、お料理ブログに掲載しているレシピが人気になり、料理本を出版することに。
なんと担当編集者は薫子。
そんな由香子ですが、ネットで容姿をバカにされたり、「レシピがパクリじゃないか」などというバッシングを目にしてしまい、料理を作る気力をなくしてしまいます。
彼女たちらしい手助けの仕方で、由香子に自信を取り戻させます。
余談ですが、私は昔お料理ブログをやっていました。
ブログから本を出版するの、一時期、本気で目標にして頑張っていました。
胸さわぎのハイボール
満里子は、合コンで知り合ったシステムエンジニアの彼氏が、浮気をしているんじゃないかと不安になっていました。
超美人で、放っておいても男が寄ってくるような満里子が、まさか浮気されるはずなんてない、と、彼氏がよく行くお店を探し当てる親友たち。
店主の雪子は、女っぽくないタイプでした。
女優の小雪みたいな和風美人を想像していたけど、全然違っていて、「やっぱり満里子の勘違い!」と思ったけれど…。
女心がギュッと詰まったお話で、気持ちが痛いほど分かります。
てんてこ舞いにラー油
薫子は、結婚したけれど、相変わらず仕事が忙しく、妻らしいことができていない罪悪感を持っています。
そんなある日、玄関先に手作りの「食べるラー油」が差し入れされていました。
料理上手の由香子から?いえ、違いました。
ラー油の謎と、薫子の育った家庭環境、人に頼れない性格が絡み合って、複雑なハーモニーです。
おせちでカルテット
雪の大晦日、薫子の家に集まって、みんなでおせちを作る予定でした。
しかし、親友たち3人は、それぞれやむを得ないトラブルに巻き込まれ、薫子の家にたどり着くことができません。
そんな状況の中、姑は、天候不良を見越して、なんと事前連絡なしに前乗りしてしまうのです…!
満里子は、閉店後の百貨店で、化粧品の福袋の準備をしていたら、誤って閉じ込められてしまいます。
咲子は、ピアノ教室の生徒が減ったため、生活費稼ぎでアルバイトをした帰り、元カレにバッタリ出会ってしまいました。
由香子は、テレビ番組の収録のあと、急遽別の番組に使うおせち料理が届かないから…と、おせち料理作りを頼まれます。
いつの間にか、由香子がプロの料理研究家に成長していました。
グルーポンのスカスカで残念なおせち、というパワーワードが出てきます(笑)
さて、彼女たちは無事、薫子の家にたどり着けるのでしょうか。
変わるもの、変わらないもの。甘くて辛い、女の友情
女性には、ライフスタイルの変化がつきもの。
学生時代とは違って、彼女たちの置かれている環境は、それぞれ変わっていっています。
仲が良いだけではうまくいかなくなってきます。
独身か既婚か、どんな仕事かなど…立っているステージが変われば、価値観も変わっていきます。
彼女たちも、子どもができたりしたら、またすれ違うこともあるはず。
だから、いつまでも変わらない関係なんて、本当はありえないのかもしれません。
でも、出会ってから10年以上、性格や趣味がバラバラでも、仲良く付き合ってきた事実。
お互いの置かれた環境が変わっても、そのときどきで、頼って頼られて、助け合っていける。
甘いだけではない、女の友情を、ぜひ読んでみてください。
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ファンタジー要素・ミステリー要素もあり、面白いですよ。
絵本の記事です。種族を超えた友情をぜひ。
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