- なぜ、本は絶版になってしまうの?
- 絶版になった絵本って、どうすれば読めるの?
- 絶版絵本のおすすめを教えてほしい。
現代は、出版不況と言われていて、売れなければ淘汰されてしまう厳しい現実は、絵本でも変わりません。
決して、優れていないわけじゃないのに、もったいない…。
絶版になった絵本でも、今の子どもたちに届けたい名作はたくさんあるのです。
この記事では、絶版になった絵本の中から、おすすめの作品をご紹介します。
手に入れるのは難しくても、きちんと読む方法はあるので安心してくださいね。
親子ともに気に入った絵本を見つけてみてね!
売れなければ絶版絵本になってしまう…隠れた名作がいっぱい
出版不況の中でも、実は絵本って売れているんだよ。
祖父母・親世代の教育志向の高まりもあって、少子化でありながら絵本の売れ行きは好調なんです。
ですが、絵本の市場は他のジャンルと比べて極端に偏っていて、売上の95%はロングセラーで占められています。
売れている新刊作品でも、作者の話題性など、絵本の質以外のところで評価されているケースが多いのです。
そのため、新たに出版される絵本は年間約3000冊もあるのに、そのほとんどは版を重ねることなく消えていっています。
たしかに、親になって初めて子どもに絵本を読むとき、自分が小さい頃に読んでもらった絵本を選ぶよね…。
もちろん、10年、20年と生き残ってきたロングセラー絵本は、どれも名作ぞろいで、ロングセラーになりうる力を持っています。
ですが、絶版になった絵本も、決して優れていないわけではなく、名作なのに売れなかったものも多いのです。
仕方ないのかもしれないけど、なんか悲しいね。
絶版になった絵本を手に取る方法|まずは図書館で借りてみよう
絶版になってたら、もう読めないんじゃないの?
絶版になった絵本は、新たに本屋さんで購入することはほとんどできないと思います。
図書館には、かなり古い絵本も置いてありますし、なんといっても無料なので、まず探してみましょう。
多くの自治体では、図書館の蔵書をネット検索・ネット予約できるシステムがあります。
もし、子どもがあまり気に入らなくても、返却すればいいだけだもんね。
買って手元に置いておきたいと思ったら、ネットオークションで探してみましょう。
オークファンなら、無料会員登録で、メルカリやヤフオク、フリルなどの複数のオークションサイトを一括で検索できますよ。
ブックオフなどの古本屋にも眠っているかもしれませんが、当てもなく探すのは困難なので、根気が必要。
最後の手段は、復刊ドットコムでリクエストして、投票が集まれば復刊の可能性があるかも。
でも、普通に売っている間にちゃんと買って、絶版にならないに越したことないよね…。
絶版になった名作絵本、12作品をご紹介
絶版になった絵本の中で、おすすめしたい絵本をご紹介します!
どれも、絶版にしちゃうには惜しい、素晴らしい絵本ばかりです。
ひとつひとつ内容を説明するよ!
はらっぱにライオンがいるよ!
「はらっぱにライオンがいるよ!」は、チムという想像力豊かな男の子のお話。
お母さんは、小さな赤ちゃんのお世話と、家事と農家の仕事で大忙しです。
チムを楽しませようと、「マッチ箱をはらっぱに持っていって開けると、ドラゴンが出てくるわよ」と、言うと、本当にドラゴンが出てきました!
これは…現実?チムの想像の中のこと?
物語の本質は、空想か現実かを見極めることではありません。
チムのこと、お母さんはちゃんと見てるって、安心できる結末だね。
66このたまご
森で小鳥たちと暮らしているおばあさんは、卵からヒナがかえるのを楽しみにしています。
ですが、アナグマが卵を盗んで、「たまご酒」を作ろうとしていたのです…!
大変!なんとかして取り返さなきゃ…。
おばあさんの歌うようなリズミカルなセリフ、そして意外と強いところ、なんだかクスっと笑ってしまうお話。
おそうじやさん はじめます
アリクイさんのお掃除屋さんには、心強いスタッフがいっぱい。
アライグマさんはぞうきんを洗うのが好き、テナガザルさんは高い窓を拭けるし、ハムスターさんは狭いところのお掃除が得意。
でも、ねこさんだけはお掃除に向いていません。
そんなねこさんに合った仕事…実はお掃除以外にあったんです。
自分らしくない仕事を無理に頑張っても、イキイキ働けないもんね。
合わない仕事で疲弊し、息苦しい人生を送っている人に、ぜひ手にとってほしい絵本です。
【復刊済】ボビーとそらいろのヨット
童話館出版は、絶版になった絵本を復刻する試みをしています。
「ボビーとそらいろのヨット」は、1989年に発行されたあと、絶版になりましたが、1995年に童話館出版より復刊されました。
シルバニアファミリーみたいなかわいい動物の絵が、私の好みドンピシャ!
ボビーは、アナグマさんのお店で見つけた、空色のヨットが欲しくて、ヨットと交換できる「いいもの」を探します。
どんなものだったら、今だけじゃなくずっと楽しめるだろう?と、物の価値を考えるチカラが身につきますよ。
あすはきっと
あすは、なにからなにまで、ずっと きょうより よくなるよ。
そんな希望に満ちあふれたフレーズが印象的な絵本です。
1日の終わりに、嫌なことや泣いたことをすっかり洗い流して、明日への希望を抱かせてくれます。
楽しい遊びを思い浮かべながら眠るのは、きっと良い心地だね!
泣いたり落ち込んだり…大人も子どもも毎日いろいろありますが、それでも明日はやってきます。
夜の寝かしつけにもぴったりで、親子ともに優しく穏やかな気持ちになれますよ。
まんげつダンス!
満月の夜、動物たちが月の明かりで踊りだします。
寝ているこぶたたちを起こさないように、親たちはわらを敷いて防音対策をしてダンス!
私が、子どもが寝たあとにお酒を飲んだりするのと同じだね!
お母さんたちのダンスは、失敗だらけでヘトヘト。
踊り疲れて眠ったあと、子どもたちが起き出して…その様子がとても面白いんです!
きりんはどこからくるの
初版1972年、創刊当初の「かがくのとも」シリーズです。
アフリカで捕獲したきりんが、日本の動物園にやってくるまでのお話。
長い時間貨物列車に揺られ、船で1ヶ月かけてようやく到着します。
古い絵本だから、現代とは輸送の仕方が違うかもね?
昔、幼い長男に読み聞かせしたとき、きりんの首にロープがかかっている絵を見て、「かわいそう」と言っていました。
確かに、きりんはかわいそうかもしれません。
だけど、動物園できりんが見られるのは、いつかどこかで、こうして捕獲してきた誰かのおかげでもあるのです。
だから、動物園で暮らすきりんたちを、幸せにしなくてはなりません。
「かわいそう」から何か考えるきっかけにしてほしいな。
とき ほろびゆくとり
トキは、佐渡に住む美しい鳥。
この絵本の初版、1973年当時、トキは国内に10羽程度しかおらず、もっとも絶滅に近い「近絶滅種」とされていました。
トキの生態とともに、トキがなぜ減ってしまったのか、環境の変化なども学べる絵本です。
今は、中国を中心にトキの数が増えてきているんだよ!
保護や繁殖が進んだおかげで、トキの個体数は世界で5000羽を超え、絶滅危惧レベルも「絶滅危惧種」に引き下げられています。
人間が絶滅させることもあれば、人間が守り増やすこともあるのですね。
わたしぶね フェリーがつくるうみのみち
広島県の尾道と、対岸の
離島に暮らす人々にとって、フェリーは本土に渡るための交通手段になっています。
学校や仕事に行くときに船に乗る…それが日常の人たちもいるのです。
船に乗るのが当たり前で、生活の一部なんだね!
なかなか実際には体験することができない世界も、絵本を通じて知ることができますよ。
こうていぺんぎん
氷と雪ばかりの南極大陸に生息する、コウテイペンギンの生態がわかる絵本。
卵を産むところから、厳しい冬を生き残る厳しさ、独り立ちするときまで…卵をあたためるお父さんペンギンの健気な姿にグッときます。
ただかわいいだけじゃないんだね!
水族館や動物園にいるペンギンたちの、本当の姿が見られますよ。
ひめぼたる
初夏の夜、お父さんと一緒に、家の近所の川に出かけます。
ホタルを見たり、コクワガタをつかまえたり、夏ならではの体験をする少年。
旅行などの特別なイベントよりも、こうした何気ない1日が、大人になってからも忘れられない思い出になるもの。
子どもの心に残る、一生モノの体験を、絵本でおすそ分けしてもらった気分になりますよ。
我が家も、子どもが小さい頃は、セミの羽化を見に夜の公園に行ったりしたなぁ。
おおかみだってきをつけて
絵本のお話では、おおかみはいつも悪役。
だからみんな怖がるけれど、本当に怖いのは、おおかみのお腹に石をつめこんだり、大きなお鍋で煮て食う「あいつら」なんだ!
「3びきのこぶた」などの絵本をマニュアルにして、「あいつらには近づかないように…」と慎重に行動するおおかみが、なんだかかわいらしい。
だけど、こぶたや赤ずきんちゃんは、その裏をかいて、おおかみを陥れます。
おおかみの入念な下調べも、こぶたや赤ずきんちゃんには全く効かないね。
グリム童話を知っている大人だからこそ楽しめる、シニカルでクスリと笑えるパロディ絵本。
絶版になる前に、気に入った絵本は買って手元においておこう
絵本との出会いは、一期一会だね。
絶版になる絵本の中に、名作絵本が隠れているのと同じように、売れている絵本も、すべてが優れた作品とは限りません。
どちらにも、子どもに読ませるに適さない絵本や、駄作と言っていい絵本もあり、玉石混交状態。
大人が、しっかりと絵本の質を見極めて、子どもに手渡さなくてはなりません。
そのためにも、知識を持って、子どもと一緒に絵本の読み聞かせを楽しみたいですね。
子どもが読んで気に入れば、絶版絵本でも新刊絵本でも、大切な宝物だよね。
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子どもたちが小さい頃から読み聞かせしてきた絵本を、Twitter企画でご紹介したとき、約1割が絶版絵本だと気がつきました。
全79冊、ブログ記事にもまとめています。
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